TOCで考える

約20年前に「ザ・ゴール」という本を読みました。
イスラエルのゴールドラット博士が1970年代に提唱したTOCを
わかりやすくフィクションに落とし込んだ本です。

TOCは制約条件の理論と言われ、基本的なコンセプトは、
「生産工程の中にはボトルネックとなる工程があり、それが全体のスループット(生産量)を決定する。最適な生産のためには工程全体のスケジュールをボトルネック工程の能力に合わせ、ボトルネック工程を重点的に改善すべきだ」
というものです。まとめていうと、
「部分最適ではなく全体最適が重要」
という内容です。

これをアパレル生産に落とし込むと
1)コストを下げるために時間あたりの生産枚数を増やしたい
2)そのために各工程で最大出力の作業を行った場合、全体としては、ロスや仕掛り品が増え、キャッシュフローが悪くなる。
3)例えば、仕上げのキャパが足りなかった場合、いくら裁断、縫製の効率化を進めても、仕上げのキャパ以上の製品は出荷出来ない。
4)よって、ボトルネックとなっている仕上げのキャパに合わせて裁断、縫製のキャパを調整するべき。
5)もしくは、仕上げのキャパを増やすべき。
というものです。

当たり前のことなのですが、現場ごとの部分最適を進めてしまっていると、
このような現象が起こりがちのようです。

TOCは、もとは生産効率を上げるための理論でしたが、
キャッシュフローを上げるためにTOCが用いられることがあります。

スループット会計と言われています。

私達の仕事は、あらゆるコストが上昇している中で、厳しい価格競争に
さらされています。
従来の原価計算の会計では限界が見えてしまいます。
なので、一度、違うアプローチとしてスループット会計を導入してみようと考えています。

来週以降、何度か、スループット会計の考え方を紹介していきたいと思っています。

興味ある方はぜひ お付き合いください。

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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