メタバースもやもや

ここ数年のバズワードに「メタバース」があります。
facebookが社名をmetaに変更したように、
世界的にも期待値が高くなっています。

私はゲームをしないので仮想空間というものが身近になく、
正直、生活が激変することにはならない、と思っていました。
2006年ごろに登場した「セカンドライフ」と
何が違うのか?という感じです。

そんな中、1/27 の日経MJに仮想空間の有識者である、
国立情報学研究所教授の佐藤一郎氏による、
メタバースの現状と見通しについての記事がありました。

まず「メタバース」の定義について、最も広くとると
「3次元の仮想空間でユーザーがそれぞれの目的のために
アバターを操作する環境」
としています。

以下、佐藤氏の見解をまとめます。

①本格的に普及するためには、
今回のような一時的なブームがあと数回は必要。

②2006年頃のセカンドライフによる第一次ブームと比べると、
技術的に大きく進化しているものの、
今回も一時的なものに終わると考える。
その理由は2つ

③1つ目は、仮想空間に浸るための
ヘッドマウントディスプレーのような装置の付け心地など、
「居心地」がまだ良くない。

④2つ目は、今回の流行ではビジネスシーンで広がっていないこと。
現状ではゲームの世界にとどまっている。

⑤居心地の良さ、ビジネス利用、という2つの壁を乗り越えたら
大きく普及するのではないか?

⑥ただ単に現状の業務を仮想空間に移してもだめ。
例として、オンライン会議をアバターで行う必然性は無い。

⑦通常簡単に再現できないような状況を想定した業務だと相性が良さそう。
自然災害時の避難誘導や手術のシミュレーションなど。

有識者が今回のメタバースを一時的なブームと捉えていて
安心しました。

⑦のような必然性が必要なのは分かっているはずなのに、
アパレル業界の人は、すぐにそのシーンで使うであろう服を作ってしまいます。
この必然性について、私たちはコロナから学んだはずです。

コロナ前は見向きもされなかったオンライン会議が、必然によって普及し、
オンラインとオフラインの棲み分けが進みました。

何かをきっかけに、仮想空間を使わざるを得なくなり、普及することは
十分考えられます。

その時に、アパレル業界がすることは「アバター服の提供」ではなく、
アパレル業界でしか出来ないことであって欲しいですね。

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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