Made by zozoの破壊力 part 2

先週、在庫の性質と、サプライチェーンのデジタル化による影響を考えてみました。
前編はこちら

単純な受注生産では、在庫はないがコストも上がって利益が減る可能性がある、という結論になりました。

製造データが製造現場に届けられるまでのコストは、デジタル化で大幅に下がりそうですが、製造の現場では、大量生産に比べて大幅にコストが上昇しそうだからです。

では、なぜMade by ZOZO が成立するのか?

それは、ZOZOが素材のリスクを取ったからです。
アパレルのサプライチェーンでは川上に向かえば向かうほど、
その製造ロットは大きくなります。

テクノロジーによって、
消費者の発注は1枚でもOK
アパレルの発注も1枚でOK
となりましたが、製品の工場への発注は1枚では成立しません。
生地や糸を1枚分生産することは多くの場合、出来ないからです。
逆にその部分のリスクをとる会社が現れれば、1枚受注生産は可能になる。
その会社がZOZOだったわけです。

Made by ZOZO の仕組みに乗っかっているのが大手セレクトショップである点も興味深いです。

もともとZOZOは大手セレクトと良い関係を築いていました。
数年前からは、
販売プラットフォーム ZOZO
ブランド       セレクト
企画・生産      商社
という枠組みで、小ロットを前提とした多サイズ展開をしていました。

小売がZOZOで、製造が商社というSPAになります。

今回のMade by ZOZO は、この延長にあると思われます。
Made by ZOZO でZOZOがリスクする素材は、ブランドも横断している
可能性もありますね。

Made by ZOZO がもし伸びれば、消費者は満足している、ということですから、みんなハッピーになるビジネスモデルです。
ただ、ジワジワとブランド価値は毀損していきます。

このチキンレース、最後に勝つのは、誰なんでしょうか?

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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