廃棄することが悪ならば

廃棄することが悪ならば

NHKのニュースで

家庭で使用済みの衣服 65%が廃棄 リサイクル 再利用は3割余り

というものがありました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210417/k10012979991000.html

それによりますと、
・去年1年間に家庭で使い終わったり、事業所で不要になったりして手放された衣服はおよそ78万7000トン
・このうち65%に当たるおよそ51万トンはそのまま廃棄されたとみられる
・再利用されたのは20%、リサイクルされたのは16%で合わせて3割余りだった
ということです。

また、国内に衣服を供給するサプライチェーン全体でみると、
・原材料を調達し製造する過程で年間およそ9000万トンの二酸化炭素が排出される
・原材料の栽培や染色などにおよそ84億立方メートルの水が使われている
と推計されるということです。

環境経営については、こちらでも言及したことありますが、数字での実感が薄いので、少し調べてみました。

2018年 日本の二酸化炭素排出量 11億3,800万トン 世界では 331億トン

製造過程までの二酸化炭素排出のほとんどは、海外で発生していると想像できますので単純に比較は出来ませんが、日本国内での二酸化炭素排出量の約8%に相当します。

日本の全産業の市場規模(実質国内生産額)は約990兆円、アパレル業界の市場規模が9.2兆円ですから、アパレル業界のシェアは約1%になります。

たった1%の市場で、日本の二酸化炭素排出量の8%を占めていると考えると、製造過程での排出量は多過ぎですね。早急に再生可能エネルギーに切替える必要を感じます。

また、日本のごみ総排出量は年間4,272万トン そのうち、78万7000トンが衣服なので、シェアは1.8%。こちらも、市場規模シェアよりも多くの廃棄がされています。

では、ここで単純に「廃棄を減らそう!」というのは矛盾を含んでます。
廃棄をしなければ買い替え需要が減る。
廃棄せずにリユースしても買い替え需要が減る。
結果、市場規模が更に縮小する。

となると、リサイクルを推進するしかないのですが、リデュース、リユース、リサイクル以外にもう一つ、リプレイスを提案したいです。

リプレイスとは、置換える、こと。
今は服としてこの世に生まれてきたものに、別の役割を与えることです。

例えば、ウェスってご存知ですか?
工場などで使用する雑巾のようなものですが、油汚れを取ったりするのに使用します。
すでに一部では古着も使用されていますが、海外から輸入されているものもまだ多くあります。
海外からのコストを下回れるようなテクノロジーがあれば、リプレイスが進むでしょう。

もっと他にリプレイス出来るものないでしょうか?
テクノロジーが、もっとこのようなことに使われるといいですね。

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吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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