バックキャストで考える

私が感じていたSDGsに対するモヤモヤが解消されたのは、SDGsが地球的にも経済的にも持続可能な社会を目指すものということが分かってからです。
SDGsというと「じゃあ、昔の生活に戻ることが良いのか?」「不便な生活を我慢できるのか?」という命題にぶち当たるのですが、そうではないのです。

では、今地球が直面している問題を解決するためにはどうしたら良いのか?という問いに対する1つの回答が「バックキャストで考える」ことかもしれない、と石田秀輝氏の「『バックキャスト思考』で行こう」という本に詳しく書かれています。

物事を多角的に見ることは良いことしかないので、バックキャスト思考の入口を紹介します。

最近、バックキャスト思考という言葉を耳にすることがあると思います。
バックキャスト思考とは
「未来のあるべき姿を考え、そこから逆に現在を見ること」
その反対のフォーキャスト思考は、
「今日を原点にして未来を考えること」
と捉えられることが多いですが、これでは不完全です。

本書では、バックキャスト思考とは、
「制約を肯定して受け止め、その制約の中で解を見つける思考法」
と定義されます。
制約を制約と考えない時点で制約はなくなる、ということになります。

具体例として、「居間の電球が切れた」という問題へのアプローチを考えます。
フォーキャスト思考では、新しい電球に交換する。
バックキャスト思考では、電球なしの生活を楽しむ工夫をする。
となります。
電球が切れたという制約を受け入れるか、排除するか、が大きな分かれ目になります。
電球を交換したら問題は解決します。
電球が切れたことを受け入れ、楽しみを見いだしても問題は解決します。

別の問題として、「水やエネルギーが足りない」という制約がある中で「これからも毎日の入浴を楽しみたい」とすると、どのように解決したら良いでしょうか?
フォーキャスト思考では、節水する、とか入浴回数を減らす、などガマンを伴った問題解決を目指します。
バックキャスト思考では、「水を使わない風呂を開発しよう」となるわけです。

バックキャスト思考の方がイノベーションが起こりそうな気がしませんか??

アパレルで起こっている問題の1つに大量廃棄問題があります。
フォーキャスト思考でみると、大量廃棄を減らすために受注生産にする。結果、単価が高くなり消費者かメーカーが我慢しなければならない、となります。
バックキャスト思考でみると、大量に余っている衣類を廃棄ではなく何かに使うことで私達の生活を豊かにする方法はないか?考えることになります。

これが見つかれば大量廃棄が問題にならなくなりますね。
水を使わない風呂、というような、前提をひっくり返すような思考を身につけたいものです。

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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