服はコンテンツなのか?

映画の流通は劇場からはじまり、ビデオ・DVD → 動画配信 と進んできました。
最近、第4の流通経路としてDVTというものが登場しました。
DVTとは、デジタル・ビデオ・トレーディングの略です。

サイト上でコンテンツの購入が出来ますが、購入可能な数が限定されていることが特徴です。

シリアルナンバーが付いていて、購入者は自分の購入した作品を
1)自分で視聴する
2)リセールする
3)レンタルする
4)スタニングする
の4つの権利をもっています。

DVTの新しいところは、
2)リセールした場合 3)レンタルした場合、その売上の一部が制作者に分配されること。
既存のビデオ・DVDであれば、一度、手を離れると制作者への分配は出来ませんでしたが、この点が改良されています。
制作者への分配の可能性が増えることは、制作者のモチベーションアップに繋がり、結果、コンテンツの品質向上に繋がるでしょう。

同じコンテンツでもアパレルの場合は、ここまで進んでいません。

「デジタルで無形だから出来るのだ!」
という意見が聞こえてきそうですが、
そもそも、アパレルには生産物が「コンテンツ」という認識が非常に少ないと思います。

お互いがお互いを模倣しあうことが「トレンド」に繋がっているのであれば、こんなにつまらないことはないですね。

アパレル製品が人の生活を豊かにするためのコンテンツであるならば、
より安く提供することは根幹には無いはずです。

ブランド主体のリセールやサブスクモデルのレンタルはありますが、
どちらかというと、大量生産や廃棄の問題の解決策として行われています。
制作者への再配分のためではありません。

多くのアパレルブランドには「製品をコンテンツとして取り扱う」という視点が欠けているようです。

一方、ブランドビジネスでは、自分たちの製品を非常に大切に扱っています。

ブランドビジネスが正義だとは思いませんが、
自社の商品をコンテンツとして扱うことが出来れば、
コスト削減のための大量生産と大量廃棄は減るかもしれません。

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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