私たちアパレル業界の人間が考える品質と、
消費者が考える品質には溝がありますよね。
この溝は、最近、生まれたものではなく、
昔から存在していたと思いますが、
その溝は埋まる気配がありません。
「素人は何も分かっていない」という意味ではなく、
この溝はアパレル業界の怠慢によるものではないか?
ということについて考えてみたいと思います。
ある有名マーケターが、
「数年後の社会に受け入れられるマーケティング戦略が
ファッション業界に先駆けて現れているのである」
として、あるブランドAのビジネスモデルを褒めていました。
ポイントは3つ
1)価格破壊
2)販売サイクル破壊
3)マーケティング破壊
2)の販売サイクル破壊の根拠として、
「Aは最短2週間ごとに新作を出している」
としています。
→平成からあるし。。。。。
3)のマーケティング破壊は広告で認知を獲得するのではなく、
SNSを通じた「推し」によってファンを増やしている、と。
少し前に流行ったD2Cブランドとの違いがいまいち。。。
2)3)はビジネスからのアプローチなので、
アパレル業界では知られていても、他業種からは見えにくいのかもしれません。
一番よろしくないと思ったのは、1)価格破壊について、です。
Aのジーンズについて、
「6000円台だが品質は高級ブランドと遜色ない。
知り合いの欧米の一流デザイナーもそのジーンズを高く評価した」
とありました。
アパレル業界では品質にも色んな項目があって大きく分けると
1)希少性
2)安定性
3)適正性
があります。
1)は原材料が貴重でいわゆる高い素材のこと
2)は同じものを変わらず製造できる技術のこと
3)企画と価格とブランドにあった素材・縫製のこと
消費者からすると
1)は商品の説明をされると分かるかもしれませんが、
触って分かる人は殆どいないと思います。
2)は絶対に分からないです。
3)も分からないでしょう。
Aブランドの6000円のデニムの品質がどうこうではなく、
消費者が簡単に品質を語れないような教育が必要だと思います。
品質って簡単な話ではないので、
アパレルは「好きか、嫌いか」でいいと思うんです。
今までアパレル業界は品質についてアピールしてこなかったから、
消費者が品質に言及するのではないでしょうか?
消費者が「好きか、嫌いか」に集中できるように、
消費者への品質教育は必要だと思います。
細番手の生地を「ペラペラ」で「品質悪い」という消費者がいなくなりますように。
展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。