逆説の強み

「失礼な接客」を売りにした飲食店が注目されています。
気だるそうな店員が雑に客を扱う様子が、SNSで拡散されて
話題になっています。

「バカップル2人入りま~す」と案内され、
メニューを投げるようにテーブルに置かれ、
注文しようと店員に呼びかけても1度は無視される

完全に炎上案件です。

しかし、お客さんは、
「次は何を言われるんだろう、何が出てくるんだろう」
と目を輝かせ、
「この罵声が自分を強くする気がします」
とまで言う人も。

何が魅力的なのか。
容姿や人種に関することを言わない
差別的な発言をしない
などの基本的なルールを設けた上で、
誰もが心のなかで思っている
『働きたくない』『気だるいな』
という気持ちを前面に押し出すことで、
お客さんの共感を得ているんだと思います。

このお店は、昼間はカフェで、非常に丁寧な接客をしており、
土日の夜限定で「失礼な接客」をしていることもポイント
かもしれません。

このような逆説の打ち出しは、他との差別化への近道です。

昔、「う~ん、まずい」というCMで有名になった青汁。
本当にまずかったのかもしれませんが、
「良薬口に苦し」のことわざを思い起こさせ、
「体に良い飲み物」というイメージを青汁に植え付けることに
成功しました。

ある人材・ブランディング会社は、
「日本一ブラックな会社」
として各SNSで打ち出しています。
「ブラック」という単語は劣悪な労働環境を思い起こさせますが、
単にイメージカラーが黒なだけで、非常に真面目な会社です。
自社のブランディングを考えるときに、
「ホワイト企業です」というよりも「ブラック企業です」と
自分で言ったほうが、相手にはインパクト与えられます。
本当の「ブラック企業」は、自社のことを「ブラック企業」とは
いいません。

耳障りの良い、それっぽい言葉を並べても、
世の中には同じような情報が溢れかえっているので、
全く印象に残すことが出来ません。
CHATGPTでコピーが自動生成されると、
さらにその傾向は強くなると考えられます。

逆説は大手には出来ない、中小企業にしか出来ない技なのかもしれません。

アパレルでも十分可能性あると思います。

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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