シェアリングを活用して美容師や料理人など専門職の独立開業を支えるビジネスが広がっているそうです。
美容業界では少し前からこのような業態もありました。
従来の美容業界では、見習い→スタイリスト→指名客獲得→(お金のことで揉めて)お客さんを連れて独立、という流れがありました。
実は独立した人も同じ歴史を繰り返しています。
レストラン業界も、似たようなものですね。ほとんどのシェフが有名レストランで修行してます。技術を盗む側面もありますが、お客さんを開拓する、経営を学ぶという側面もあると思います。
その中で「美容の場所と設備は提供します。独立したい人、実力のある人はどうぞ使ってください」「キッチンはありますので、どうぞ使ってください」という美容院やレストランが出てきたということです。
その背景には、コロナとITがあります。
コロナで来客が不安定になった反面、uberなどのデリバリーが伸びています。実店舗がなくてもお客さんに選んでもらえる、ということです。
ITでは、仕入れの形態が変わってきました。以前は、早朝から市場に行って仕入れないといけなかったのが、ネットで仕入れることが出来るようになり労働時間の短縮も実現でき始めています。
ビジネスモデルとしては実は新しいわけではないですね。土地を貸すことと同じですね。
生活のスタイルの変化とテクノロジーの進歩により、対応できる範囲が広がった結果なのでしょう。
実は、アパレルの現場の1つである中国の縫製工場でも、同じような形態は10年前から進んでいました。
イケイケでキャパを増やしていた中国の縫製工場。
中国の人件費上昇により工員の確保が難しくなりました。一方、今までの工員の中でも意欲のある人達は、数人集めて外注グループを作ろうという動きが出てきます。
そこで工場経営者はグループにミシンと場所を提供することを始めます。外注グループ側は、いい工場に潜り込めれば安定したオーダーが見込めますし、ミシンを購入する必要がありません。
工場経営者からすると、自社ではないにしても、より目の届く外注として使えます。また、日本人バイヤーが非常に気にする ”外注アレルギー” もクリア出来ますね、外から見た人は自社のミシンで縫っている人達が外注契約とは思わないですから。
珍しくシェアリングでは進んでいたアパレル業界ですが、ただこんな時代だからこその突き抜けたシェアリングが出てきたら、アパレル業界も変わるかもしれないですね。
展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。