環境省の調査によると、いまや国民の半数近くが苦しんでいる花粉症。
花粉症でない人からすると、
「鼻をかんで、目薬さしとけばいいだけやん」
と思われるかもしれませんが、
当事者になると非常に苦しいものです。
生産性の低下などによる経済損失は、
パナソニックの推計によると
1日あたり2340億円とも言われ、
「たかが花粉」
とは言い切れない規模になっています。
生産性低下を防ぐために、沖縄など花粉が少ない地域への一時避難を
援助する会社も出てきました。
花粉症の原因の1つがスギの花粉ですが、
スギの花粉が多く飛散するのは、
スギの人工林が増えたからです。
スギの人工林が増えた経緯をまとめると
戦中戦後の物資不足
↓
資材・燃料の確保のために過度な伐採が進む
↓
森林が荒廃し全国で水害が増えた
↓
高度経済成長で住宅用材の需要が高まる
↓
天然林を人工林に転換する政策が取られる
↓
日本の固有種であり、保水に効果があり、
木材として加工しやすいスギが選ばれた
↓
日本森林の4割が人工林となり、
人工林の4割がスギ人工林となっている
花粉症は確かに「現代病」ですが、その要因は、
昨今の生活習慣による体質の変化などではなく、
単にスギが増えたからなんですね。
となると、花粉症の根本的な対策は、
スギを植え替えることしかないのですが、
スギの所有者にとってスギは資産ですから、
適正価格での需要がなければ伐採されず、
植え替えが進まない、
という状況です。
政府も花粉症対策としてスギの植え替えに取り組んでいますが、
花粉の発生量が半減するのに30年かかると見積もられているので、
私が生きている間は花粉症に悩まされることが、ほぼ確定です。
短期的には、医学的なアプローチや避難補助によって
生産性の低下を防ぐことが必要です。
国民の半数近くが悩まされているなら理解も得られるでしょう。
長期的には植え替えが必須なので、スギの需要を高めていくことが、
産業界には求められています。
スギ花粉対策は今の日本に必要とされているビジネスかも
しれません。
ただし、アパレルがすぐにやってしまう
「花粉が付きにくい服」
は、飛んでいる花粉をブロックするわけではないので、
どうなんでしょう??
それよりもコロナによってマスクをすることが日常になったので、
積極的に花粉対策マスクを開発することは良さそうですね。
展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。