先日の日経MJで、アメリカに移住した日本人が日本の化粧品や雑貨をもっと気軽に買いたいのになかなか買えないのには、どのような困難があるのか、3人の起業家への聞き取りが記事になっていました。
一人目はラーメンD2C「Ramen Hero」を運営する長谷川氏。2017年創業で現在はアメリカ48州にラーメンのミールキットを累計2万人に届けています。日本とアメリカでは美味しそうな写真が異なることに気付いて写真に工夫しています。
二人目は日本のお菓子を取扱うサブスクリプションサービス「BOKKSU」を運営するダニー・タン氏。アメリカには「和菓子を食べる時は日本茶を飲む」など、日本人にとっての当たり前の慣習がないので、お菓子に加えてカルチャーガイドを届けています。
三人目は日本の化粧品を販売する「Cosme Hunter」を運営する高橋氏。アメリカは日本よりも人種や国籍など多様な社会なので、それに対応できる多様性が必要です。例えば、日本の化粧品は日本人の肌色がベースになっているので、白人や黒人には合わないかもしれない。
三人ともに気付きがあったわけですが、普通だと日本人の常識に無意識のうちにとらわれていることが多いのではないでしょうか?また、一方で、「アメリカとはこういう国」という思い込みで進めてしまうこともあります。
聞くと「当たり前」のこでも気づかないこと多いですね。
重要なのはバランスで、日本の目とローカルの目を使い分ける必要があります。
アパレルでも似たようなことがよくあります。
日本の技術は高いし、アジアでも所得が上がるにつれて日本の食べ物や化粧品が売れている。メイドインジャパンのアパレルや日本企画のアパレルも売れるに違いない。こういう考えで、アジアに進出するブランドがありましたが、実際には散々たる結果でした。
アパレルなので、かわいければ、もしくはかっこよければ、値段が合えばかってもらえるはずです。自分たちが欧米のブランドに対して抱いている劣等感をスライドさせたような考えは通用しませんでした。
では、アジア進出が失敗だったのかというとそうではなくて、ひとつの仮説が成立しなかっただけで、そこから分かったこともあるはずです。
何もやらない人には、何の進化も生まれない、と考えたら、思い込みも一つの武器なのかもしれません。
今、私が取り組んでいる日本の製品を海外で販売する案件も少しずつ軌道に乗ってきましたが、当初の仮説とは大きく異なる結果になっています。でも、一つずつ順序立てて潰していくことは、間違いなくゴールに近づく行為なので、大切にしていきたいです。
展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。