アパレルOEMビジネスの話をしようか

アパレルOEMビジネスの話をしようか

はじめまして、株式会社京都エモーションの吉川と申します。

この記事は、私が今までやってきたアパレルOEMビジネスについて、あなたに知っておいて欲しいことを書いたものです。

目次

  1. 私のこと

  2. アパレルOEMビジネスの過去

  3. アパレルOEMビジネスの未来

  4. アパレルOEMビジネスをどう捉えるか?

  5. アパレルの直貿との違い

  6. アパレルOEMビジネスを成功させるために

  7. 最後に

本題に入る前に、まずは、私の経歴を簡単に書かせていただきます。

1.私のこと

私は、1996年に総合商社の1つ、伊藤忠商事株式会社に入社しました。配属は、大阪のリーテイルアパレル課という主に通販会社向けに企画提案型のビジネスをする部署でした。

そこから1年半後、東京のレディスアパレル第二課に異動になりレディスアパレルのOEMビジネスにどっぷり浸かっていくことになります。

東京では2年半は受渡業務といわれる物流業務を徹底的に行いました。多分、同期の中で一番長かったのではないかと思います。

実は、この受渡業務がアパレルOEMビジネスの根っこの部分になるので、非常に勉強になりました。

営業になってからは、主に、ファッションビル系のレディスカジュアルのカットソー中国生産を中心に、布帛、ニットのビジネスをしてきました。

そして、2008年3月に12年勤めた伊藤忠商事株式会社をやめ、4月から独立しました。

独立してからも、伊藤忠商事との仕事は継続(今も形を変えながら継続させていただいており大変感謝してます)する一方で、販売側、仕入側とも直接のビジネスも行ってます。

では、つぎから本題に入ってきます。

2.アパレルOEMビジネスの過去

1996年、伊藤忠商事株式会社に入社して期待を胸に配属されたわけですが、その時に先輩が、「こんな商売もう終わる」と言っていたのを覚えています。

24年前にビジネスモデルとしてはピークを過ぎていたのでしょうか?

当時はバブルが崩壊したあとでしたが、消費者としての実感はまだ湧いていなかったように思います。

金融機関の破綻が始まったのは、入社した翌年の1997年からです。

当時は服を買う場所は百貨店がほとんどで、多くが日本生産、一部、ファッション衣料の中国生産が始まった頃です。

一気に海外生産にシフトしていく中で、競争の激化を先輩は感じていたのでしょう。

3.アパレルOEMビジネスの未来

時は令和。

アパレルOEMビジネスの未来はどうなっていくのでしょうか?

「もう終わる」といわれたアパレルOEMビジネスは、コロナ禍でオーダーが減少している中でも、まだ終わりを迎えていません。

同時に競争の激化も終わっていません。

プレーヤーも以前は総合商社でしたが、専門商社、総合商社子会社から独立系のOEM会社企画会社に変わってきています。

一方、お客さんの顔ぶれも変わりました。

百貨店アパレルが姿を消してき、カジュアルチェーンは足踏み状態。そして、勝ち組だったセレクトチェーンも頭打ちです。

伸ばしているのは、ユニクロ、ジーユー、そして、完全にノーマークだったワークマン、いずれも大量生産・低価格・売切型のお店でしょう。そして、間を縫うようにD2Cといわれるインフルエンサー発信ブランドが大量発生しています。

お客さんがこんな状態なので、既存のアパレルOEMビジネスも厳しくなる一方です。

大量オーダーを求めて大手に群がり、どんどん低くなる利益率に耐えて歯を食いしばりながら付いていくのか?

与信不安を抱える準大手に適度な距離を持って接していくのか?

素人ブランド相手に小ロットからお付き合い、10ブランドのうち1つでも当たれば御の字ぐらいのスタンスか?

不思議なのは、アパレルOEMという業務はなくなっていない、ということです。

本来であれば、自社で出来るはずなんですが、やはり、面倒な仕事なのでしょう。

ですから、アパレルOEMビジネスの未来は明るくはないが、暗くもない、「永遠の日の入り前」と言えるでしょう。

4.アパレルOEMビジネスをどう捉えるか?

ファッションビジネス=誰かが企画したものを誰かが作り誰かが販売しているビジネス、と考えると、アパレルOEMビジネスは3つの要素のうちの2つに関わっています。

ですから、将来、企画やブランド立ち上げに興味のある人は、まずは、アパレルOEMビジネスから始めてみることをオススメします。

ブランド立ち上げに比べて圧倒的にローリスクです。ローリターンですが。

アパレルOEMビジネスでしっかりアパレル業界の良いところ、悪いところを見極めましょう。そして、アパレル業界で必要とされる知識、生産の仕事や営業のことだけではなく、損益、キャッシュフローなどの財務のこと、組織、法務、税務の知識を手に入れましょう。

ブランドを安定的に回していくためには、安定した仕入が必要です。
ブランドを立ち上げて運営する足腰を鍛える訓練の場所が、アパレルOEMビジネスです。

5.アパレルの直貿との違い

アパレルで直貿を始めようとしている方も、最初は、アパレルOEMビジネスを経験することをオススメします。

アパレルの生産業務とアパレルOEMの生産業務は全く異なります。アパレルの直貿を始める時は、実務面でいうとアパレルOEMビジネスの経験が必須ですので、経験者を中心に始めたほうがいいでしょう。

では、アパレルの直貿をアパレルOEM経験者が行うと100%うまくいくのか、というとそうではありません。

既存のモノと同程度のモノを安く作ることは、アパレルの直貿で実現しやすいことです。

ただ、仕入先がやっていたのとほぼ同じ業務を社内でする必要があります。外部からの仕入では変動費化できていたものが固定費になるわけですから、相当安く仕入れるか、金額を増やすか、を検討しなければなりません。

また、最初のうちは今までの経験や情報が活かせますが、他社の情報が入りにくい環境になってきて、仕入先として考えた場合に、競争力が落ちていきます。

直貿をするにあたり、その目的を何にするか、をきっちり設定することが非常に大切になります。

6.アパレルOEMビジネスを成功させるために

アパレルOEMビジネスを成功させるために必要なことはいくつもありますが、いい販売先といい仕入れ先がないと成立しません。

いい販売先とは、自分の仕入先に適していること。

いい仕入先とは、自分の販売先に適していること。

そして、どちらも信用面で問題がないこと。

この3つのバランスが取れていることが、アパレルOEMビジネスを成功させるために必要なことです。

この3つが揃っていれば、あとは、それをどのように回していくか、という技術論になります。技術論については、また、改めて深堀りしていきたいと思います。

7.最後に

私自身は、アパレルOEMビジネスに携わり始めて、24年になります。
非常にいいビジネスであり、比較的自分には向いていると思っています。
適度な奥深さがありますし、色んな商品を見ることが楽しくなります。

あなたも、是非、アパレルOEMビジネス 極めてみませんか?

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その他、毎週月曜日配信のメルマガ「アパレル業界の〇〇な話」もよろしく。バックナンバーはこちら

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吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。