先日、あるお客さんと話をしていたら、面白いことを聞けました。
・今まで百貨店の売上も多かったがコロナで激減した
・代わりに、郊外型のSCの売上は伸びている
というよくある話に続いて、
・コロナでスーツが売れない、と言われてますが、うちはスーツ売れてます
と。
リモートになっても「スーツが売れる」ってどういうことなんでしょう。
お客さんの分析の結果、ポイントは2つあります。
①減ったと言っても、新入社員などで春はスーツ需要がまだある
②「リモートでスーツが売れない」ことが予想され、各社がスーツからカジュアルに振っていたところ、当社だけ普通にスーツを出していたので、逆に、スーツの消化がよかった。
小学生低学年でサッカーの試合をすると、全員ボールに群がるので、その光景から、「にわとりサッカー」と言われていますが、現実のアパレル業界でも「にわとりサッカー」行われています。
つまり、「リモートでスーツが売れない」というのは間違っていないのですが、「以前より売れない」ので在庫を残すのを恐れ、発注を減らしカジュアルを増やした。
一方、新社会人は、人口が減っているとはいえ一定数存在しますから、新社会人向けのスーツの需要も、同じく一定数存在します。
となると、このご時世で新入社員向けのスーツは買えるところが限られており、消化にも繋がったと言えます。
昔から、顧客が求めるものではなく顧客が求めていたものをベースにして、仮説を立てることが多いため、どうしても「にわとりサッカー」になるのでしょう。
他人の「にわとりサッカー」は指摘できるのに、いざ自分のことになると「にわとりサッカー」を修正することが出来ないのは、不思議な現象ですね。
「にわとりサッカー」にならないように注意しましょう。
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展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。