アパレルOEMビジネス 営業ビギナーが勘違いしやすいこと

アパレルOEMビジネス 営業ビギナーが勘違いしやすいこと

こんにちは。伊藤忠商事から独立して12年、アパレル業界24年 展示会オンライン 吉川です。今日は「アパレルOEMビジネス 営業ビギナーが勘違いしやすいこと」について考えてみます。

 目次

  1. はじめに
  2. サンプルと本生産、大切なのはどっち?
  3. サンプルのトラブル、本生産のトラブル、致命的なのはどっち?
  4. 最後に

 はじめに

 

 私はアパレルOEMビジネスに24年携わっているわけですが、営業になりたての頃、私も例外にもれず勘違いしてしまったことがあります。

 

 営業に出てお客さんと商談を進めていくと、「サンプルを作って検討しましょう」ということになります。営業としては、新しいオーダーを取るチャンスなので、とてもうれしく、納期、値段が厳しくてもなんとかしようと思うものです。

 サンプルには納期があります。展示会や検討会の日程は決まっています。そして、往々にして、お客さんは生産上の制約事項、リードタイム、ロットなどを無視する傾向にあります。パターンを作る時間も必要ですし、着分手配する時間も必要ですし、付属の手配も必要です。

 3週間後のサンプルアップに向けて、100%の力を注ぎ込んでしまうものです。

 

 「サンプルがないと発注が出ないので、サンプルは大事でしょう!」

 「提案してようやく依頼をもらったのだから、当然でしょう」

 

 このような意見もあるでしょう。

 

 しかし、私は声を大にして言いたい。

 

 「アパレルOEMビジネスで、本生産の納品にまさる優先事項は無い」

 

 なぜ、アパレルOEMビジネスにおいて、サンプルの納品よりも本生産の納品が大事なのか?そして、どうして営業ビギナーが勘違いしてしまうのか、考えてみましょう。

 

 

 サンプルと本生産、大切なのはどっち?

 営業会議で各自が発表する時に、「こういう依頼を受けました」という話が自分の仕事をアピールすることになります。特に、営業ビギナーはその報告をしたくてしたくてたまらないはずです。お客さんから依頼をされることは、少しでも信用してもらえたことになるので、それまでの準備が花開いたことになるのですから。
 そして、ついつい、サンプルのことで頭がいっぱいになります。

 少し立ち止まって考えてみましょう。営業の仕事は何でしょうか?
会社に利益をもたらすことです。そして、全体のオペレーションが滞りなく進んでいるかを確認することです。

 一番危険なパターンは、サンプルに注力するあまり、本生産の管理がいい加減になってしまうこと、時間と経費をかけるポイントを間違ってしまうことです。

 サンプルのトラブル、本生産のトラブル、致命的なのはどっち?

 サンプルのトラブル、本生産のトラブル、致命的なのはどちらでしょう?
当然どちらも大切ですが、サンプルのトラブルは、途中経過を報告し相談していれば、回避出来る可能性はあります。事前にしっかり話し込みが出来れば、色欠けでも、グラフィックで対応することもあれば、1stサンプルと各色生地などで乗り切れる可能性もあります。

 一方、本生産のトラブルはどうでしょうか?

 お客さんは店頭で予定通り販売できないわけですから、売上が取れず、粗利は減ります。それまで数ヶ月準備していたことが、無駄になるわけです。そうすると、お客さんからの信用を失うことになります。

 自分達はどうでしょうか?

 自分達も予定していた売上が出来ないですし、何よりも、お客さんからの信用がなくなることが最大の損失です。「あそこは提案はいいけど、本生産がダメなので依頼できない」ということは、よくあることです。また、「あそこは本生産完璧なので、発注を増やしたい」ということも、よくあることです。

 同じことは、自分達も工場に対しても思っていることです。
いくら良い提案があっても、本生産の品質が安定しないところは商売続かないですよね?

 なので、結論。

「アパレルOEMビジネスで、本生産の納品にまさる優先事項は無い」

最後に

本生産の納品は、チーム一丸となって対処すべき業務です。
納期面、品質面、コスト面全てが予定通り進んで、合格になる業務です。
本生産をきっちりしながら、サンプルのトラブルをなくすようにすれば、自然と本生産のオーダーも増えていくでしょう。

アパレルOEMビジネスというのは、そういうものです。

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吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。