アパレルはギャンブルか?
「勝つか負けるか運次第、やってみなければ分からない」
ギャンブルは、このように表現されることがあります。
実は「やってみなければ分からない」ものはギャンブルだけではなくて、殆どのことがあてはまります、株式投資も同じですが、ギャンブルとの違いは何でしょうか?
それは、胴元がいるかいないか、です。
https://forbesjapan.com/articles/detail/37230/1/1/1
ギャンブルの特徴は
・勝ちの金額と負けの金額はゼロサムであること
・胴元がいて、一定の利益を持っていくので、実はマイナスサムであること
です。
一方、株式投資の特徴は
・マーケットが拡大すれば、プラスサムであること
・マーケットが縮小すれば、マイナスサムであること
です。
そして、ギャンブルにも株式投資にも、勝率を上げるための理論があります。例えば、株式投資には、大きく分けて2つの理論があって、1つは、株の値動きから未来を予想するテクニカル投資(株価には人間の心理が反映されるから)と、企業の業績から未来を予想するファンダメンタル投資(株価は長期的には理論値に収束するから)があります。
私はテクニカル投資のことは勉強したことがないのですが、ファンダメンタル投資は、少し勉強したことがあります。同じファンダメンタル投資でも色んなスタンスがありますが、1つ言えることは、上場企業の決算の数字を読む力が身につくという副次的なメリットがあることです。
財務の健全性はもちろん、競争優位性や、その原因を理論的に分解していくので非常に勉強になります。(そのうち、こっそりがっつり始めると思います。)
未来を予測する投資と言えば、我らがアパレル業界では、小売&SPAの商品発注があります。長年、この業界で仕事をしていますが、「何が売れるか分からないのに3ヶ月後の商品を発注する」ことが出来る人、本当に尊敬しています。去年の実績に今年の流行を掛け合わせて、店舗の販売力を考慮して発注しているのですが、これは、ギャンブルなのでしょうか?株式投資なのでしょうか?
誰かが利益を出せば、その分、誰かが損するゼロサムか?
胴元は一定の利益を取っていくのか?
こう考えると、アパレルの構造は限りなくギャンブルに近いように見えてきてしまいます。成長市場であれば株式投資に近いですが、成熟市場ではギャンブル要素が強くなってきます。なぜなら、消費の理由が買換になっていく、つまり、市場の規模が固定されるので、その取り合いになるからです。
市場の規模が決まった商材では、「負けない」発注業務は、市場規模と自社のシェアから販売量を決めることになりますが、売上予算からの割り返しになっていることが多いのではないでしょうか?だから当たれば利益が出るが、外れたらセールを乱発し不良在庫を抱え損することになります。
アパレルのギャンブル要素をなくしていくことが在庫問題の解決につながりサスティナブルな業界になるのかもしれません。
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展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。