アマゾン・スタイルが買い物を変える

約1ヶ月前の5/25にアメリカ・ロサンゼルスでオープンしたアマゾン初の衣料専門店「アマゾン・スタイル」のレポートが日経MJに載っていましたので、紹介します。

・店舗面積は278平方メートルでH&Mやユニクロの大型店並み
・品揃えはNB中心でPBもあるというセレクト型

アマゾン・スタイルが既存のお店と大きく異る点が3つあります。

1)アプリの導線
店頭の商品は買うことが出来ず、アプリからハンガーに付いているQRコードを読み取って商品ページに飛びます(ここまでは想像の範囲内です)。その商品ページでは「試着室で試す」と「ピックアップカウンターに送る」の2つの選択肢があります。

2)カスタマイズと推奨
陳列商品の売価は〇〇~〇〇というレンジ表示で、正確な販売価格はアプリにしか出ません。たとえば、アマゾンプライム会員と非会員で価格が変えることが出来る仕様になっています。また店舗の入口に掲示されているQRコードから、性別、身長、好みのスタイルを入力することで、アマゾンからそれにあった商品が推奨されます。

3)試着室
アプリで試着室を選ぶと商品が試着室に集められ準備が出来ると通知が届き、アプリで試着室の解錠をします。そして試着室は40室用意されています。試着室には自分で選んだ商品とアマゾンの推奨商品が用意されています。試着室には客用の出入り口に加えて店員用の出入り口も用意されていて、客は試着しながら追加で商品を依頼することが出来ます。店員用の扉は二重になっていて覗かれる心配もありません。追加の商品の準備が整うと客側には赤ランプで通知されます。

非常によく考えられていますよね。このようなオペレーションが出来るのは、バックルームの店員が商品を運ぶフルフィルメントを担っているからです。
店員は、1)で試着室に選ばれた商品は試着室に、ピックアップに選ばれた商品はピックアップカウンターに運び、不要になった商品を元に戻す、という作業を繰り返しているわけです。

試着はアパレル販売には不可欠な一方、客にも店舗にも高いストレスがかかります。その試着のプロセスを大きく変えています。恐らく、ネットで注文した人の試着も出来るようになるでしょうし、アパレル以外の商品のピックアップ場所にもなるでしょう。

この仕組は、店舗を大型にして物流拠点化を進めているzaraも導入しそうです。

試着室を再定義したアマゾン・スタイル、注目です。

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

コメントを残す