ネットマーケティングの転機
先週6/9(水)の日経MJの記事で、
転機のネットマーケティング 人は追わず 狙いは外さず
というものがありましたので、紹介します。
現在の日本で主力のサードパーティークッキーを使用した追跡型ターゲティング広告が転機を迎えています。
個人情報保護の観点から世界的に問題視されており、アップルやグーグルではその利用を制限する動きがあるからです。
iPHONEの新しいテレビCMでも、iOSの新しい機能として紹介されていますね。
”ネットで色んなものを見ているといつの間にかいろんな会社に取り憑かれていて気持ち悪かったが、自分で誰に情報を開示するか選べますよ”
という内容です。
アパレルECでは、あまり履歴追跡型の広告は効果がないと思いますが、それでも、よく目にします。みなさんも経験ありませんか?
私は以前、女性向け機能素材インナーのリサーチをするために、インナー各社のECのチェックをしたことがあります。その後、全然関係ないyahooやニュースサイトを見ているときにも、欄外で、その時リサーチした女性下着の広告がバンバン出てきて、
「買う気ないし、追跡されてて気持ち悪いし、何なら、そのブランド嫌い」
と思いました。
「ネットで見た人は購入する可能性がある」
「検索した人は購入する可能性がある」
=そのうち客、お悩み客
という理屈のもとに配信されているのです。
あながち間違っていないのかもしれませんが、私の女性下着のように、とんでもなく的外れで、かえってブランド価値を下げてしまうことも発生しています。
そこで、今注目されているのは、サードパーティークッキーを使用しない、「コンテキスチュアル型ターゲティング広告です。
これは想定する消費者が見そうなサイトを探し出し、文章などの内容が広告に適するかどうか見極めるために人工知能(AI)を活用したりする手法で広告を配信します。
例として、日本ネスレのキャットフードの広告配信が挙げられています。
今までの広告配信手法だと、猫を飼っている人と猫が好きな人の区別が難しかったため、猫が好きな人にもキャットフードの広告を配信していたが、猫を飼っている人が閲覧している可能性が高い内容のサイトに配信することで、コンバージョンが約2倍に上がったそうです。
当たり前といえば当たり前なのですが、今までの追跡型ターゲティング広告は少し策に溺れていたのかもしれません。個人の閲覧履歴から読み取る内容が浅かったのでしょう。
アパレルECの広告は、大丈夫でしょうか?
世の中には、服を自分で選ぶことに自信がある人は20%ぐらいしか居なくて、80%の人はどのような服を買えばいいのか分からずにいます。
そのような人たちに、ブランドサイトの閲覧履歴からブランドの広告配信をしても効果は少ないと考えられます。
服選びに自身のない「あなた」に向けたコンテンツを発信して、そのコンテンツを見てくれている「あなた」が買いやすい方法を提案することが大切なのではないでしょうか?
この業界にいると服好きな人が多いので、世の中の人は服が好き!と勘違いしてしまいますが、そんな人は少数派です。
お金を持ち始めた人が全身ブランド物になってしまうのは、どんな服を選んだらいいのか分からないことの表れではないでしょうか?
ECでの販売が当たり前になってきた今こそ、従来のカタログのような売り方ではなく、ライブで煽るような売り方でもない、新しい売り方が生まれると信じています。
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展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。