こんにちは。伊藤忠商事から独立して12年、アパレル業界24年 展示会オンライン 吉川です。今日は「なぜ日本の縫製現場はFAXがあるのか?」について考えてみます。
このインターネットの時代に、アパレル業界はIT化が進んでいなくて、アナログだとよく言われています。
仕様書や発注書はデジタルになってきましたが、未だに、専用伝票が5枚複写で1冊50枚 2000円 とかする会社もあります。
それと並び、よく槍玉に上がっているのは、日本の縫製工場は未だにFAXしかない、という話。
「デジタル設備に資金が回せなくて、」
「メール見ないのが当たり前ので、今でも、メールしたら電話する」
とか言われていて、
「だからアパレルはダメなんだ」
みたいになっているのですが、少し考えると現場ではFAXの方が業務効率が高いことがある気がします。
メールで来た仕様書、発注書は、結局プリントアウトすることになるので、最初からFAX の方が便利ですね。送る方はメールでFAXを送れば、それで解決する気がします。
また、メールだと送るのが簡単すぎて、中途半端な状態でも送ってしまうことが多いですが、FAXだと何回も送ること憚れるので、1回あたりの精度高いような気もします。
紙のほうが一覽性が高い場合があります。「紙って何?」みたいな世代が将来でてくる可能性もあるのですが、今の人には、まだ、紙は一覽性という意味で優位性があると思います。
送られてきた資料がそのまま現場で使えることが少なく手直しをしなければならない場合、エクセルで来たものに手を加えることと、紙に出してそこに手を加えること、どちらがやりやすいでしょう??
絵や図で表現することが多い縫製の現場では、紙のほうがやりやすい場面 多いと思います。
こうして考えると、プリントアウトしなくていいものはデジタルの方がいいですが、プリントアウトするものは現場ではFAXの方が便利そうですね。
受け手に優しいパスはゴールに繋がりやすいのであって、デジタルが正義でアナログが悪なのではない、ということです。
「アパレル業界はアナログだ」その代表的な事例は「縫製工場のFAX」ではなく、「複写式の専用伝票」でしょう。
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展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。