良品計画の内製化

良品計画が三菱商事ファッションの自社向けOEM事業を取得しました。
売上高328億円、資産・負債は引き継がず、人員は30人、取得価格は1円。

これに関して、このような意見もあります。
https://diamond-rm.net/management/businessplan/467922/

果たして
「売上328億円の商売が1円って、OEMビジネスは終わっている」
のでしょうか?

1円での事業譲渡に至った背景には、
・良品計画自体、衣料品事業が低迷している
・三菱商事が良品計画の大株主である(3.9%)
があるので、コストセンターと化していたであろう良品向け事業を
1円で譲渡することは、中長期的にみると三菱商事にとってプラス
である、ということだと思います。

通常の買取条件のOEMビジネスは、仕入れる側と販売する側の利害は
相反する(販売する方は1円でも高く売りたい、仕入れる方は1円でも
安く買いたい)ので、理念としての「三方良し」はあっても、現実には
成立しません。
成立しないからこそ、「三方良し」という言葉が生まれたのかもしれません。

仕入の内製化は今後も進むでしょうが、商社から仕入れるメリットも
忘れてはなりません。

具体的には、
①情報が無料で手に入る
②色んな意味で提案してもらえる
③リスクヘッジが出来る
④丸投げできる
が挙げられます。

この中で一番大きなメリットは何だと思いますか?

私は、商社の大きな機能の一つは、
①情報が無料で手に入る
ことだと思います。

アパレル業界だけではなく、より広い意味での情報も
持っているのは商社の強みです。
内製化で目先の効率化は出来ても、情報が無くなれば、
競争力が落ちていきます。

内製化しているつもりが、気付いたら、結局、商社に発注している、
ということになっていないか?
5年後に答え合わせしてみたいと思います。

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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