友達に薦められた本を読みました。
フランスで自然派ワインを作っていた日本人が日本に戻ってきて自然派ワインを作り始めた話、「大岡弘武のワインづくり」という本です。
大岡さんがワインづくりを始めたキッカケや、フランスでの修行時代、家族とフランスで過ごすうちに感じた日本の良さ、戻ってからの楽しくも苦労したこと、そして、自分が信じるワインの話。
実際に現場で汗を流している人だからこその素朴で素直な言葉で綴られていました。
その中で、一番ドキッとした言葉を紹介します。
現代のワインづくりには、酸化防止剤として亜流塩酸を添加するのが当たり前なのですが、もちろん、昔は添加していないものです。工業製品として安定供給するためには添加したほうが良いのは誰もが認めるところ。その一方で失うものもあります。
自然派ワインの造り手が安定供給出来なくても亜流塩酸無添加でワインを作る理由は、
「(亜流塩酸を添加しないワイン作り)成功した場合、その方がおいしいからです。」
ジュースのように「飲みやすい」のです。
少しワインの世界を覗くと「飲みやすい」はポジティブなコメントではないです。ちょっと考えるぐらいの複雑さがある方が良いワインとされています。
その中で、大岡さんは「(ワインは飲むものなので)『飲みやすい』は飲み物にとって最高の褒め言葉」と言い切ります。
確かに。
飲みにくい飲み物より飲みやすい飲み物のほうが顧客に優しい。
ちょっと当たり前すぎて衝撃を受けました。
アパレルで考えるとどうなのでしょうか?
収穫量が少ない原料を使うことが、限定生産の服が、顧客にとって幸せなのか?
顧客がアパレルに求める本質は何なのだろう?
人によってアパレルの本質は異なると思いますが、もっと「着やすい」とか「扱いやすい」に特化したブランドがあっても良いではないでしょうか?
展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。