スマートウェアはどうなった?じゃねーよ

7/4 の繊研新聞に
”スマートウェアはどうなった?”
という見出しで、先企業のウェアラブル事業を追うシリーズが
始まりました。

スマートウェアというのは、
導電性繊維を使って体の状況をデータ化し
健康に役立てよう
というヘルスケアウェアで、
約10年前に繊維メーカーがこぞって開発・発表しました。
常に心電図を装着している状態ということで、
体の異常も発見しやすいはず。

国内のアパレル市場の閉塞感と海外でも商機を見込める
スマートウェアは将来に向けて有望な分野だと考えられました。

しかし、今やスマートウェアは無くなってしまいました。
代わりに伸びているのは、スマートウォッチやフィットネストラッカー
のような腕時計型の商品です。

腕時計型が伸びたのは「手軽さ」が理由です。
腕時計は毎日、いつも付けますし、時計の機能の一部ですが、
スマートウェアは、そのための洋服で単一機能なので、
腕時計型の優位性は明確です。
正確さでいうと、スマートウェアに軍配が上がりますが、
消費者はどこまでの精度を求めているのでしょう?

年に1回の健康診断だけでは確かに不安、
では、毎日、心電図取りたいか?というとそうではありません。

完全にメーカーはマーケットを理解せずに開発を続けていたわけです。

プロダクトとマーケティングは一体のものなので、
常に同時並行でなければいけません。

しかし10年前はゴールドラッシュのような、
猫も杓子もスマートウェアのような状況でした。

100歩譲って開発するメーカーがそうなるのは仕方ないとして、
それを報道する側は、どのようなスタンスだったのでしょう?

当時、手放しで絶賛していたのに、
気付いたら「どうなった?」というのは、
ちょっと無責任な気がします。

アパレルの業界は多かれ少なかれ同じことの繰り返しです。
業界紙には盛り上げるための提灯記事だけではなく、
業界の未来のための提言を期待したいところです。

吉川一平

展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。

~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。

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