今年、ファミリマートが店内のデジタルサイネージを使って、
リテールメディアを強化していく、というニュースが有りました。
https://www.family.co.jp/company/news_releases/2024/20240329_01.html
店舗へ来る消費者に向けて、
広告を直販することを狙ったビジネスモデル
のようです。
コンビニでの滞在時間の短さや来店目的を考えると、
効果的な気があまりしません。
が、やりたいことは、他の収益モデルを作ることにあります。
アメリカでは同時期に、ウォルマートがデジタルテレビメーカー ビジオの買収を発表しました。(当局の承認待ち)
これもリテールメディア強化が目的です。
決して、ウォルマートPBのテレビを発売することが目的ではありません。
テレビメーカー買収とリテールメディア強化の背景は以下の3つのポイントがあります。
1)テレビはネットに繋がっているので、ストリーミング再生が増え、今やテレビはパソコンを抜いて、モバイル端末に次いで、消費時間で第2位になっている。結果、広告も伸びている。
2)リテールメディアとは、自らの広告プラットフォームを持ち、広告代理店を経由せずに直接広告を販売することである。
3)日本では店頭が焦点になっているが、アメリカではデジタル広告が主体である
ウォルマートは自らが持つユーザー購買データと、
ビジオが持つユーザー視聴データを組み合わせ分析し、
ビジオ上で、より精度の高い広告を販売しよう、
という企みです。
自社サイトや店頭では、自社の持つデータを活用出来ているが、
他社サイトで自社データを活用するためのリテールメディア強化。
やろうとしていることが壮大過ぎてリアリティがないのと同時に、
結局は広告なんだ、という諦めがあります。
ものを買いたい人は潜在的なので仕方ないのですね。
メディアというのは、新聞も雑誌もテレビもネットも広告代理店を通した広告で成り立って来たわけですが、リテールメディアの強化は、いよいよ広告代理店の存在感を薄めるための戦略と言えます。
アパレルとリテールメディアの関係はどうでしょう?
アパレルが持つデータを活用できる、他のプラットフォームがあれば、
アパレルも次のステージに進めるかもしれません。
その答えを探す前に、まずは、本当に自分たちはどんなデータをもっているのか、を見直したほうが良さそうです。
アパレルを売るためのデータではなくて、
広告を売るためのデータとして考えると、
何か見えてくるものがあったり、なかったり。
展示会オンラインの主催者です。アパレルOEMのビジネスをして20数年の、そこそこベテラン。ある工場の社長から付けられた呼び名 「カットソーの貴公子」 は使ったことありません。
~略歴~
京都大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社へ入社。 退職するまでの12年間、アパレル部門で製品OEMビジネスに携わる。 2008年独立し、株式会社京都エモーションを設立し、現在に至る。